今、私たちは活版印刷を発明したグーテンベルクを上回るコミュニケーション革命の真っただ中にいる。革命の担い手はデジタルメディアのSNS。人類史上初めて「個人(わたし)」が自由に情報発信することを可能にした。

声なき民の「わたし」は大きな声の民に生まれ変わり、最小の構成単位に過ぎなかったわたしは社会の主役に躍り出た。

コミュニケーション革命は政治、経済、文化、教育など社会のあらゆるものの基本構造を「みんな(集団)」から「わたし」へ変える。

資本主義の大前提である「一物一価」の原則は、一人ひとり異なる無数の価格が存在する「一物多価」へと変貌する。市場は「みんなのマーケット」から「わたしのマーケット」へ姿を変えるだろう。

公共事業、社会福祉、人の生きがいもすべて「わたし化」する。同時に、「わたしの社会」は個人の孤立を加速させ、さまざまなリスクがわたしに直接降りかかるようになる。

600年ぶりの未曾有のコミュニケーション革命は一体、わたしをどこへ導こうとしているのか。わたしはこの変化にどう向き合い、何を準備すべきなのだろうか。

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